日本銀行の白川方明(まさあき)総裁は19日、朝日新聞の単独インタビューに応じた。今月5日の金融政策決定会合で決めた実質ゼロ金利政策について「物価の安定が見通せる段階になるまで続ける」と述べ、一定期間維持する考えを示した。さらに、景気が悪化した場合は「(金融資産を買い入れるために新設した35兆円の)基金増額は有力な選択肢」と述べ、追加の量的緩和に踏み切る考えを示唆した。
日銀は実質ゼロ金利に復帰するとともに、株式や不動産の価格に連動した投資信託や国債などを買い入れる35兆円の基金をつくり、世の中に出回るお金の量を増やす量的緩和に踏み切った。中央銀行が株式など損失リスクの高い資産を買い入れるのは異例だ。
白川総裁は今夏から米国など海外の景気回復のペースが鈍ったと指摘。円高ドル安につながって日本企業の投資意欲などを冷え込ませ、景気回復が遅れる恐れが出てきたため、「前倒し的に強力に金融緩和を進める必要があると判断した」と述べた。
日銀は中長期的に望ましいと考える物価上昇率について、消費者物価指数(生鮮食品を除く)が前年比で「0%超〜2%」だとしている。白川総裁はこうした物価上昇が「達成できると見通せるまでは実質ゼロ金利を続ける」と述べた。現状の物価上昇率はマイナス1.0%程度にとどまり、物価が下がり続ける「デフレ」状態にあるため、ゼロ金利の維持は長期化する可能性もある。
新設した基金については「初めての政策なので、効果と副作用を入念に点検する」と述べた。「効果が勝ると判断する場合」は景気悪化に対応して基金の額を増やし、量的緩和の拡大を検討することを示唆した。
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